老人介護のエピソード


(15) 出始めたら止まらない便、48時間でパンツ交換32回!

 これまでに何度もあったが便秘によるトラブルは結構ある。先の例にように救急搬送で一命を取りとめたこともある。体に先天性の構造的欠陥(直腸上部のS字結腸部が狭い状態)があるので止むを得ない。よくぞこの年齢(90歳を超える)まで健康で生き延びと、感謝しなければならない。

 以前にどこかに書いたよな気もするが、私がいろいろと調べた結果、親父の体質には生姜湯が効くことことを発見した。冬になるとあちこちのスーパーやドラッグ店で売っているアレである。市販の便秘予防薬も併用はしていたが、薬はいつも言うように本来体外異物であって好ましくない。できるだけ天然の食料品から医薬成分を摂取するのがよい。ただ、生姜湯も体質的に効果のある人とそうでない人がいる。

親父は糖尿病もあるので無暗にやたらと飲ませるわけにもいかないが、適度に使用すると実にいい効果をもたらした。市販の便秘予防薬を連日飲んでもらっているものの、抵抗力ができてしまったためか効き目がない。それも自己責任でやや多めに飲ませているのに5日も便秘が続いている。通常の人は便秘もこの辺が限度である。仕方がないので便秘の時には1日にマグカップ一杯飲んでもらう。甘いものが好きな親父は喜んで飲むので助かる。この日は10時と3時のオヤツの時間にそれぞれ一杯飲ませた。ところが、夕食後から徐々に便が出始めた。いい傾向だと二人で喜んだのも束の間のこと。

 初めのうちは2時間前後に一度便意をもよおすようでトイレに行く。なにせ何日分も溜まっているのだから、出る、出る!それが段々に早くなり1時間余りになってくる。ひどいときは30分に、もはや下痢状態と化す。こうなるとベッドからトイレまで、親父の歩き方では間に合わない。布製のパンツは次々に汚してしまう。出始めたら止まらない!
新品10枚も1日で使ってしまった。すぐに補充もできないので紙パンツにした。親父がベッドから降りると私の部屋の警報機が鳴るのですぐに駆けつける。私も親父も寝る間がない。初日は完徹、2日目もほぼ徹夜、トイレに通った回数は40回は裕に超えているだろう。数えてみると48時間でパンツの交換が32枚。大したことではないが、寝たきりにさせないということはこういうデメリットもあるが、やはりメリットの方が大きいだろう。
自宅で介護をするとはこんなものである。会社を辞めてこのような介護のできる人、される人は幸せ者である。世の中一般では、これができないからいろんな不幸な事件が起こっている。

 私は自分がこんな介護ができて幸せだと思っているから、親父に愚痴のひとつも言うことはなかったが、親父にとっては私に対して申し訳ないという気持ちが言葉の端々に読み取れる。寡黙な親父は直接口には出さないが、私にとってはボケていないだけに辛いであろうことを察して、「父さん、よく頑張ったネ」と疲れを労(ねぎら)った。

 

どうして要支援2なの?

 

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