9. 危険な食品添加物(2)

酸化防止剤

  いろんな食品に有害菌が含まれていることはすでに述べたが、微生物による腐敗などにより食品の変質・劣化が起こる。

それらは食品中の水分や残存酸素の影響が極めて大きい。変質や劣化が起こると、食味・食感・風味・外観(褐変や退色など)が損なわれ、場合によっては栄養価の低下や有害になることさえもある

食品に限って酸化防止剤をみると、次のように形態的に分類される。

 

酸化防止剤としての形態

① 液体

粉であっても、油性・水溶性のものは溶液にする。それを製品に混合する。場合よっては噴霧する。

② 粉体又は顆粒状

製造工程で直接製品に練り込む。

③ 包装品

俗に言う「脱酸素剤」のこと。製品包装時に食品ととも入れら れるもので、製品に直接触れることはない。従い「食品添加物」としての使用基準はない。

最近は包装技術の進歩により、レトルトパウチ、真空パックや窒素封入パックの導入により、酸化防止剤を使わなくてもよい製品も増えてきている。

 酸化防止剤は、食品成分の代わってそれ自身が酸化されることにより、こうした酸化による品質の低下を防止するのが目的で、食品の品質を維持する効果をもたらすものである。

油脂分を含むスナック菓子、果実加工品や漬物などあらゆる食品の変質・変色・褐変を防止に使われる。

特に調味油脂類(サラダ油、天ぷら油)、バター、マーガリン、ショートニングなどは色や風味が悪くなるだけでなく、酸化によってできる化合物(過酸化物)が消化器傷害を起こす原因にもなる。

[余談]マーガリンの場合は「トランス脂肪酸」が諸悪の根源であるが、悪役マーガリンの話こちらでも読むことができるが、実際にデンマークやオランダ、ドイツなど国単位で使用禁止しているされているところもある。

アメリカではカリフォルニア州で禁止されているが、最近は米国にも行かないのでもっと増えているかも知れない。

天然酸化防止剤(比較的に安全)

 

ビタミンC(Lーアスコルビン酸)

用途:果実加工品、そうざい、漬物、缶詰など非常に広範囲に使われる。

アスコルビン酸と表記されることもあり、ブドウ糖から作られる。

過剰に摂取すると嘔吐や下痢の症状がみられる場合もある。ビタミンCは体内で代謝されてシュウ酸を作るので、結石の成分であるシュウ酸カリウムが生成される可能性がある。結石のできやすい体質の方は、要注意。

ビタミンE(トコフェロール)

用途は、ビタミンCとほぼ同じ。

トコフェロールと表記されることもあり、多くの植物に含まれていて用途によって色々なものから抽出され、ヒトには殆ど無害とされている。

しかし、過剰に摂取した場合に胃部不快感、下痢、便秘、まれに発疹が起こることもある。

Lーソルビン酸ナトリウム

用途:ハム・ソーセージなどの食肉加工品、冷凍魚介類、野菜や果物の缶詰、果汁飲料など広範囲。魚肉練製品とパンには、逆に酸化剤として使われることもある。すなわち、食品を加工・製造するとき、酸性の物質を使えない場合に使用する。

アスコルビン酸と同じ成分で作られている物質で、抗酸化剤としての働きのほか、酸化による抗がん剤物質の生成も防ぐ効果も持つと言われている。

亜硫酸ナトリウム(亜硫酸塩)

用途:乾燥果実、天然濃縮果汁、果実酒など応用用途は非常に広い。

硫黄が燃えるときに発生する物質からつくられ、漂白効果もある。

水溶性なので、一般的にはワインなど飲料にに使用されている。

健康な人には問題はないが、気管の弱い方の過剰摂取は喘息を引き起こす可能性があるとされている。

没食子酸プロピル

植物性で五倍子タンニンから抽出される物質だが、非常に高い抗酸化作用があるものの、弱毒性があると言われている。

現在は食品への直接添加での使用度は低く、製造の過程で使用されることが多いようである。

クエン酸イソプロピル

用途:豆腐を作る時に、にがりに代わりに豆乳を固める豆腐用凝固剤、中華麺の食感や風味を出すためのかん水、ハムやソーセージの組織の改良のための結着剤など、機能や用途が多岐にわたり分類が難しい

その他に、コーヒー豆抽出物であるクロロゲン酸、お茶からの抽出物であるカテキンが多く使われるが、これらは人体には殆ど無害である。

ブチルヒドロキシトルエン(BHT)

用途:食用油脂、バター、魚介乾燥製品・塩漬・冷 凍食品、ガム、乾燥裏ごしいも(ポテチチップスな どスナック菓子の原料)

高い抗酸化作用がありがあり広く使われているが、発がん性物質が含まれ ると言われている。

実験では、遺伝子損傷性、変異原性、染色体異常、遺伝毒性。

ラットでは、脱毛、また新生児に無眼症が現れたという。

ヒトでは、血清コレステロールの上昇、ホルモン併用で発がん性も疑いあるとされる。(人によっては「ある」と断定している。)

輸入パーム油に添加されている可能性が高いそうだが、表示には表記されていない。

ブチルヒドロキシアニソール(BHA)

ほぼ同上である。

動物実験で歩行失調、変異原性、染色体異常、消化器出血、潰瘍形成、発がん、肝臓うっ血などが確認されている。

これら二つは、たとえ基準値以下であっても危険なものという認識を持った方がいいだろう。

 食品添加物の中には、「製造(加工)助剤」として各種の添加物が使われているが、食品によって製品に残存してはいけない基準値が食品衛生法により定められているだけであり、法的には添加物としての表示義務を免除している。

しかし、各社ともたまにチェックしているだけで、すべての出荷製品の抜き取り試験をしているわけではなく、ロットにより人為ミスが多少あってもバレなければそのままというのが現実である。

たとえ天然由来の添加物であっても、亜硫酸系、亜硝酸系の添加物は、「酸化防止剤」「漂白剤」などと表記され、いろんな機能を併せ持つので広範囲に使われることが多い。その分他の添加物入り食品を摂取することにより、体内で思わぬ化学反応を起こしてしまう危険性が非常に大きい。

従って、長期にわたって繰り返し同じ添加物を多量に摂取することは避けるべきである。

 

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