15. 冷凍食品を使う

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  ひと口に冷凍食品と言っても、

 解凍して生の状態(なま物)になるもの

② そのままでも食べられるもの

③ 簡単な調理・加熱で食べられるものなどその種類は非常に多い。

一般的に ① 前処理している。② 急速凍結している。③ 適切に包装している。④ 品温を -18 ℃以下で保管している。という4つの条件を満足するものを「冷凍食品」と日本冷凍食品協会では定義づけている。

食品衛生法(既出)では、以下に掲げた品目に関し、それぞれに製造基準を定めており、野菜も肉類も魚介類もすべて同じ基準とは限らない。冷凍された梱包から取り出されて売られて魚は「冷凍魚」であって、冷凍食品の分類には含まれない。


ここでは、種類による使い方により大まかに以下のように分類してみた。

① 畜産冷凍品

基本的に完全解凍状態にして使用。

② 水産冷凍品

どちらかと言うと、半解凍状態がベストで完全解凍しない方がよい。

シーフード・ミックス(海老、甲斐、イカなどのミックス)の袋詰めや大型の海老、イカには表面にグレーズ(氷の薄い膜)がついているのでこれを落として使う。

[余談] この膜は食品の脂質の酸化を防止したり、食品表面の乾燥を含むなど品質保持に大変貢献しているものであるが、一見大きく見せるための嵩(かさ)増やしのために余分に付着させているようなものも見受けられる。青魚の脂質酸化は -18 ℃でも進むことが知られており、この膜の重要性は高く,できるだけ低温で保存することが望ましい。ちなみにマグロの場合だと、-50 ~ 60 ℃冷凍保存されている。

③ 冷凍野菜

大部分は、凍ったまま調理(加熱)するのが基本である。そのため予め適当なサイズに細断してあるものが多い。一方、ブランチング(半加熱)してあるものが多いので、加熱し過ぎに注意が必要。

[ブランチング] 

業界用語だが一部の例外を除き、殆どの冷凍野菜は急速凍結する前に、90 ~ 100 ℃位の熱湯で固茹でしたり、蒸気をかけて本来の加熱・調理の 70 ~ 80 %程度加熱してあることをいう。加熱時間は野菜の種類・大きさ・熟度などによって異なるが、豆類、イモ類、カボチャ、ホウレンソウなど葉物は 1 ~ 1.5 分、アスパラガスやわらびなどでは 2 ~ 3 分位である。その目的は野菜表面の雑菌処理及び野菜の持っている酵素を不活性化させたり、貯蔵中の変質や変色を防いだり、組織を軟化させ凍結による組織の破損を防ぐためである。

④ 冷凍果実・果汁

基本的に半解凍状態にして使用。アイスクリーム機械によっては、凍結のままが良いものが多い。highdy の所有するものもそうである。)

⑤ 調理冷凍食品

  基本的に凍結したまま加熱・調理する。

また、前項の「食品の冷凍と解凍」では細かく記載しなかったが、解凍についても自然解凍、低温解凍(冷蔵庫など)、水中解凍、氷温解凍(氷水中)、強制解凍(電子レンジ)と、適宜使い分けることが必要である。特に生ものの刺身や肉類は、菌の繁殖を抑えながら低温、氷温で解凍することが望ましい。


調理食品の調理・加熱

 ① 焼く、炒める

魚、餃子などは、凍結のまま調理する。

② 蒸す

シューマイ、中華饅頭、餡入り饅頭の類も凍結のまま蒸す。

③ 煮る・茹でる

ボイル・イン・バッグの丼物の具や肉団子は、沸騰した熱湯の中に凍結のまま入れ、説明書きの所定の時間しっかり熱を通すこと。

煮魚の場合は、半解凍状態の方がしっかり味がつく。

④ 揚げる

凍ったまま、適温の油中に静かに入れる。コロッケやフライは、入れた時に急激に温度が下がるので油は通常より多めに入れ、一度に沢山入れないことが美味しく上げるコツである。バッタリングしてあるものは、入れてから表面が固まるまでの1~2分間は、絶対触らないこと。肉団子の場合はあまり気を使う必要はない。火力調節をしながら油温は 180 ℃を一定に保つようにする。浮き上がったら、適度に裏返し表面を焦がさず中心部にしっかり熱を糖すことが必要である。また、必要により表面をカラッと上げたい場合は、短い時間の二度揚げ法もある。

⑤ 電子レンジによる調理

商品の説明書きをよく読んで加熱時間を設定することが大切。

特に加熱済み商品コロッケやフライの場合は、皿の上に割り箸などを置いた上に食品を載せ、蓋は絶対にしないこと。蓋をすると蒸気が逃げずベタついたものになる。ひと言多いが、これは主婦でも意外に知らない方も多く、男性や若い方の場合は圧倒的に知らない方が多い。

[余談] 冷凍食品を長期間保存していると、「冷凍ヤケ」という現象が起こる。これは食品の表面から水分が蒸発して乾燥し、脂質が酸化したり、タンパク質が変質したり、製品が変色することをいう。特に油脂分を含む食品に多い。

冷凍ヤケになると、肉がパサパサになったり、変な味や香りがする食品になってしまう。

原因は、食品の包装が不完全であること、冷凍庫の頻繁な開閉により庫内の温度上下が激しく新鮮な空気が大量に入ること、脱臭剤(匂い吸着剤)の機能低下によるものである。

これを防止するには、庫内を整理し目的の対象物がすぐに発見・取り出しできる工夫はもちろん、それぞれの食品を空気から完全に遮断できるような包装、庫内温度の上昇を極力抑えること、脱臭剤(匂い吸着剤)を定期的に交換すること。できれば、動物性タンパク質を含む食品は長期に保存せず、早めに消費するように注意することが大切である。